【7機種を比較】初心者にオススメのコンパクトフィルムカメラ

【7機種を比較】初心者にオススメのコンパクトフィルムカメラ

フィルムカメラを選ぶときに何を重視するかは人それぞれですが、僕は「コンパクトさ」を重要視しています。

「軽さは正義」という言葉がありますが、軽いからこそ持ち出したくなるし、持ち出したからこそシャッターチャンスを活かすことができると思っています。

今回は僕が所持しているコンパクトフィルムカメラ7機種を紹介しつつ、それぞれの特徴や良い点、さらには作例をまとめていきたいと思います。

初心者向きのカメラが多いので、コンパクトカメラを探している人や、これからフィルムカメラを始めようと思っている人は、ぜひこの記事を参考にしてみてください。

目次

Rollei 35

元祖高級コンパクトといえば、1967年に発売されたドイツの機械式コンパクトカメラ「Rollei 35」。

Rollei 35には様々なモデルが存在し、やや複雑なのですが、カメラのキタムラさんのブログにわかりやすくまとめられているので、引用させていただきます。

「ローライ35」 (レンズはテッサ―、露出計はCdS式)※一部違うレンズが存在します
「ローライB35」(トリオターレンズ、スローシャッターなし、露出計がセレン式)
「ローライC35」(スローシャッターなし・露出計なし)
「ローライ35S」(レンズがソナーの高級モデル)
「ローライ35T」(ゾナー付きが出た後の初代テッサ―レンズのRollei35の名称)
「ローライ35LED」(トリオターレンズ、スローシャッターなし、露出計がSPD式)
「ローライ35SE」(レンズがゾナーで、露出計を指針式からLED式に変更)
「ローライ35TE」(レンズがテッサ―で、露出計を指針式からLED式に変更)
「ローライ35クラシック」(ローライ35Sの復刻版)

カメラのキタムラ

一番上の「ローライ35」にも種類があって、各部に高級パーツを使用したドイツ製の初期型と、一部に廉価パーツを使用したシンガポール製の後期型があります。

8台所有しているフィルムカメラの使い分け術
ローライ35

僕が持っているのは後期のシンガポール製。

比較的安価に入手できるモデルですが、写りに定評があるレンズのカールツァイス テッサー 40mm F3.5を搭載しているので、こってり濃厚な色合いで非常に良く写るカメラです。

ローライ35
白馬大池:ローライ35

青空や紅葉が鮮やかに写り、さらに雲のディティールや立体感の描写も素晴らしいです。

ローライ35
白馬鑓温泉:ローライ35

水面の質感、奥の山々と靄、そして太陽の光芒。

50年以上前のコンパクトカメラとは思えない描写力はさすが。

それでいてフィルムカメラらしいどこか懐かしい雰囲気も残っていて、ローライ35の魅力が凝縮された一枚です。

ローライ35
白馬岳:ローライ35

小さくて軽いカメラが欲しいけど、描写も妥協したくないという人にはRollei 35が断然オススメです!

ただし、露出合わせはマニュアル、ピント合わせは目測式、さらにはレンズが沈胴式なので、少し慣れが必要なカメラでもあります。

評価

  • 描写力:★★★★★
  • 操作性:★★☆☆☆
  • 携帯性:★★★★★

スペック

  • 発売:1967年
  • 型式:機械式コンパクトカメラ
  • レンズ:カールツァイス テッサーT 40mm F3.5
  • シャッター:1/500~1/2秒、B
  • ファインダー:ブライトフレーム式
  • ピント:目測式
  • 最短焦点距離:90cm
  • 露出計:有り 追針式露出計
  • サイズ:95×60×40mm、320g

Minolta Minoltina-S

Minoltina-S
ミノルタ ミノルチナS

1964年に誕生した機械式レンジファインダーカメラのMinoltina-S。

大きくて重いカメラが主流の時代に、機械式カメラを小型化することで「誰でも気軽に本格的な撮影を楽しめるように」との想いで開発されたそうですが、時代を先取りし過ぎて、当時はあまり売れなかったという悲しい過去を持つカメラ。

ミノルタ ミノルチナS
ミノルタ ミノルチナS

しかしながら発売から約50年が経った現代の感覚では、直線的でスタイリッシュなデザインはとても良いし、何よりもこの軽くてコンパクトなボディは魅力的で、売れなかったのが不思議なくらい。

巻上レバーはボディ背面側に配置され、親指で無理なく操作できてすごく使いやすいのです。

色々と計算されて作られたことがよくわかります。

ミノルタ ミノルチナS
スノーピークランドステーション白馬:ミノルタ ミノルチナS

そんなMinoltina-Sで撮った写真はこんな感じで、めちゃくちゃ良いです!

あっさりした寒色系の色味が特徴ですが、自然な発色でとても素直な写りをしてくれます。

ミノルタ ミノルチナS
スノーピークランドステーション白馬:ミノルタ ミノルチナS

レンズは描写力に定評があるロッコールQF 40mmF1.8。

一応露出計を搭載していますが、劣化しやすいセレン式のため、実用的な個体は少ないと思います。

ミノルタ ミノルチナS
大町市:ミノルタ ミノルチナS

雪が降る薄暗いコンディションの中での撮影にも関わらず、パブリックアートの自然な発色が本当に素晴らしい。

Minoltaが誇るロッコールレンズはやっぱり良いですね。

ミノルタ ミノルチナS
ミノルタ ミノルチナS

描写力、そして機械式ですが操作性も高いので、初心者でも扱いやすいカメラです。

評価

  • 描写力:★★★★★
  • 操作性:★★★☆☆
  • 携帯性:★★★★☆

スペック

  • 発売:1964年
  • 型式:機械式カメラ
  • レンズ:ROKKOR-QF 40mmF1.8
  • シャッター:1/500~1秒、B
  • ピント:二重像合致式連動距離計(レンジファインダー)
  • 最短焦点距離:80cm
  • 露出計:有り
  • サイズ:128×74×60mm、540g
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Canon New Canonet QL19

ニューキヤノネットQL19
ニューキヤノネットQL19

Canon New Canonet QL19は、1971年に発売されたコンパクトレンジファインダーカメラ。

Canonet シリーズにもいくつかの種類がありますが、このモデルは、45mm/f1.9レンズとクイックローディングを搭載したもので、女性や初心者も扱いやすい設計になっています。

ニューキヤノネットQL19
ニューキヤノネットQL19

クイックローディングとは、上の写真のオレンジ色の部分までフィルムの端を置き、裏蓋を閉じてレバーで巻き上げをするたけで、フィルム装填が完了するというもの。

昔は、フィルム装填が苦手な人が多かったそうで、それを簡単に操作できるようにすることで、女性や初心者の支持を得たようです。

ニューキヤノネットQL19
白馬村:ニューキヤノネットQL19

マニュアル操作もできますが、シャッタースピード優先機能が付いているので露出合わせも簡単。

なお、シャッタースピード優先機能を使う場合のみ、ボタン電池(625G)が必要になります。

ニューキヤノネットQL19
白馬村:ニューキヤノネットQL19

木の幹や雪のテクスチャをしっかり捉えるなど、描写力もなかなか良いです。

ニューキヤノネットQL19
長野市:ニューキヤノネットQL19

色味としては、黄色味が強くて暖色系の仕上がりに。

これに関しては結構好みが分かれそうな印象でした。

ニューキヤノネットQL19
長野市:ニューキヤノネットQL19

New Canonet QL19は、フィルム装填や露出合わせに不安がある人にオススメのカメラ。

ただし、多機能なカメラなのでボディは620gとやや重いのがネックでもあります。

評価

  • 描写力:★★★★☆
  • 操作性:★★★★★
  • 携帯性:★★☆☆☆

スペック

  • 発売:1971年
  • 型式:機械式カメラ、シャッタースピード優先EE搭載
  • レンズ:45mm F1.9
  • シャッター:1/500~1/4秒、B、X、セルフタイマー
  • ファインダー:ブライトフレーム式
  • ピント:二重像合致式連動距離計(レンジファインダー)
  • 最短焦点距離:80cm
  • 露出計:有り(シャッタースピード優先機能を使用時のみ)
  • サイズ:120×75×60mm、620g
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Penシリーズ

ここからはハーフカメラのPenシリーズを3機種紹介します。

ハーフカメラとは、35mmフィルムの1コマに2枚の写真を撮ることができ、24枚撮りフィルムなら48枚、36枚撮りフィルムなら72枚撮影できるカメラのこと。

フィルム代を少しでも節約したい人や、ガンガンシャッターを切って練習したい人などにオススメのカメラです。

Olympus Pen S

オリンパス ペン S
オリンパス ペン S

Olympus Pen Sは、写真を撮るための必要最低限の機能しか持ち合わせていないカメラ。

シャッタースピードの最速は1/250秒で、露出計は未搭載。さらにピント合わせは目測式で、フィルムカウンターは手動でセットする必要があります。

ちょっと不便に感じるかもしれませんが、僕にはこの「究極のミニマム感」がたまりません。

オリンパス ペン S
オリンパス ペン S

ボディサイズと性能は、次で紹介するPen Wはほぼ同じですが、大きな違いはレンズの画角が3cm (30mm)と、やや標準域に近いこと。

また、個体数が多いので手ごろな価格で入手できるのが魅力でもあります。

オリンパス ペン S
白馬八方尾根スキー場:オリンパス ペン S

上の写真は、赤や黄色の発色が良くて、かなり自分好みの仕上がりになりました。

遠景がモヤっとする点は、いかにもオールドレンズらしい描写ですが、優しく柔らかな雰囲気がGood。

オリンパス ペン S
白馬八方尾根スキー場:オリンパス ペン S

ハーフカメラにはなんとなく写りが悪いイメージがありますが、パソコンやスマートフォンで見る分には十分すぎるぐらいよく写ります。

オリンパス ペン S
白馬八方尾根スキー場:オリンパス ペン S

価格、コンパクトさ、フィルムの節約などを重視したい人にとって、ペン Sは最適な選択になると思います。

評価

  • 描写力:★★★☆☆
  • 操作性:★★★☆☆
  • 携帯性:★★★★★

スペック

  • 発売:1960年
  • 型式:機械式ハーフカメラ
  • レンズ:D ZUIKO 30cm f2.8
  • シャッター:1/250~1/8秒、B
  • ピント:目測式
  • 最短焦点距離:60cm
  • 露出計:無し
  • サイズ:105×67×48mm、400g
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Olympus Pen W

魅惑のブラックペイント オリンパス ペン W 
オリンパス ペン W 

標準域に近いレンズを搭載したPen Sに対して、広角レンズのEズイコーW25mm f2.8を搭載したのがOlympus Pen W。

スナップ好きの僕としては広角で撮れるのももちろんありがたいのですが、最大の魅力はやっぱりこの美しいブラックペイントです。

オリンパス ペン W
オリンパス ペン W 

発売から60年の時を経て、塗装が剥がれた箇所から露出した地の真鍮がとにかく渋い。

このカメラはプロ用に開発されたため、外装はPen Sのようなクロームではなく、ブラックペイントになったそうです。

当時は、報道カメラマンや写真家の森山大道などが使用していたとか。

歴史的なスクープや傑作を撮っていたのかも?と想像するだけでワクワクしてきます。小さくてかわいい見た目ですが、ロマンの塊のようなカメラです。

【オリンパス ペン W】魅惑のブラックペイントカメラを持って
上田市:オリンパス ペン W

こんなに小さくて渋くてカッコいいのに、Pen S同様に十分すぎるぐらいよく写ります。

【オリンパス ペン W】魅惑のブラックペイントカメラを持って
上田市:オリンパス ペン W

スカッと抜けるような青空、建物に絡まるツタのディティール感、どちらも素晴らしい。

【オリンパス ペン W】魅惑のブラックペイントカメラを持って
上田映劇:オリンパス ペン W

ポケットからサッと取り出して、気になったシーンを切り撮るのに最適。

個体数が少なくやや割高なのがネックですが、広い画角で撮れるので、スナップショットが好きな人にオススメの一台です。

評価

  • 描写力:★★★☆☆
  • 操作性:★★★☆☆
  • 携帯性:★★★★★

スペック

  • 発売:1964年
  • 型式:機械式ハーフカメラ
  • レンズ:E ZUIKO W25mm f2.8
  • シャッター:1/250~1/8秒、B
  • ピント:目測式
  • 最短焦点距離:60cm
  • 露出計:無し
  • サイズ:105×67×48mm、400g
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Pen D3

Pen D3
オリンパス ペン D3(左)

大口径レンズのFズイコー 32mm f1.7を搭載したPen D3は、Penシリーズの最上位機種に位置付けられています。

露出計が搭載されている他、ピントリングにレバーが付けられ、Pen Sや Wに比べると操作性が格段に上がっています。

(Pen Sや Wは絞りを操作するとピントリングも一緒に回ってしまうことがあり、急いでいるときはちょっとイライラします)

シャッタースピードの最速も1/500になっているため、快晴の日でも絞りを開き気味で撮影することが可能。

その代わり、ボディサイズはやや大きいです。

オリンパス ペン D3
東京都庁:オリンパス ペン D3

Pen Sや W同様に描写は素晴らしく、上の都庁の写真は、窓のディティール感が気持ちいいぐらいよく写っています。

シャープさが増し、他のPenよりも現代的な写りになったように感じます。

オリンパス ペン D3
神宮球場:オリンパス ペン D3

空とフェンスの青、人工芝の緑、どちらの発色もいい感じです。

オリンパス ペン D3
大洗海岸:オリンパス ペン D3

露出計や明るいレンズを搭載しているため、今回紹介したPenシリーズの中では初心者が一番使いやすい一台です。

また、個体数が多いので、状態の良いものを探しやすいのも魅力。

評価

  • 描写力:★★★☆☆
  • 操作性:★★★★☆
  • 携帯性:★★★★★

スペック

  • 発売:1965年
  • 型式:機械式ハーフカメラ
  • レンズ:F ZUIKO 32mm f1.7
  • シャッター:1/500~1/8秒、B
  • ピント:目測式
  • 最短焦点距離:80cm
  • 露出計:有り
  • サイズ:106×67×50mm、410g
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KONICA C35 EF

コニカ C35 EF
コニカ C35 EF

最後に紹介するのは、僕が持っている唯一のプログラムAE機のKONICA C35 EF。

1975年に発売され、フラッシュ内蔵カメラの先駆けということで大人気となり、「ピッカリコニカ」の愛称で親しまれました。

ピント以外はカメラが自動で設定を決めてくれるので、「良い!」と思った光景を瞬時に切り撮ることができるのが魅力。

地元のカメラ屋で戦利品
コニカ C35 EF

意外と言ったら失礼かもしれませんが、しっかりした作りをしているので、安っぽさや頼りない感じはあまりしません。

コニカ C35 EF
白馬村:コニカ C35 EF

まだ雪の日にしか撮っていないので、描写性能についてあまり語れませんが、印象としては中の下もしくは中の中といった感じかと思います。

コニカ C35 EF
白馬村:コニカ C35 EF

しかしながら、フラッシュを内蔵し露出を自動で決めてくれるので、暗い場所でもササっと撮れてしまうのは心強い!

雪が降る日にフラッシュを焚けば、雪の玉ボケが写って、普段とは違った表現が可能になります。

コニカ C35 EF
エイブル白馬五竜:コニカ C35 EF

露出の仕組みがまったくわからない人、iPhoneや写ルンですに近い感覚でサクサク撮りたい人、新しい表現にチャレンジしたい人などに向いているカメラだと思います。

評価

  • 描写力:★★☆☆☆
  • 操作性:★★★★★
  • 携帯性:★★★★☆

スペック

  • 発売:1974年
  • 型式:プログラムAE機
  • レンズ:KONICA HEXANON 38mm F2.8
  • シャッター:1/60、1/125、1/250秒(後期型)、セルフタイマー
  • ピント:目測式
  • 最短焦点距離:1m
  • 露出計:自動露出
  • サイズ:120×75×60mm、330g
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おわり

今回は、僕が持っているコンパクトフィルムカメラ7機種を紹介しました。

タイプ別にオススメのカメラをまとめると、下記の表のようになります。

露出の仕組みがまったくわからない人KONICA C35 EFCanon New Canonet QL19
とにかく描写力を重視したい人Rollei 35Minolta Minoltina-S
コンパクトさ重視、節約志向の人Penシリーズ
カッコいいカメラが欲しい人Rollei 35Pen W
人と被りたくない人Minolta Minoltina-SPen W

それぞれのカメラに強みや魅力があるので、比較検討して自分に合った一台を探してみてください。

「コンパクトなカメラが欲しいけどレンズ交換できるタイプがいい!」という人には、Leica IIIfLeitz Minoita CL あたりがオススメです。

このブログでは他にもたくさんのカメラを紹介しているので、ぜひそちらも参考にしてみてください!

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