ミノルタ ミノルチナS。
たまたま希少なブラックを見つけたので買ってみました。
ほぼ同じタイミングでライツミノルタCLとニューキヤノネットQL19も買っていて、これでコンパクトサイズのレンジファインダー機が一気に3台増えたことになります。
勢いで買ってしまったため、それぞれの使い分けについては頭を悩ませているところですが、とりあえず今回はミノルチナSのレビューをしてみたいと思います。
時代を先取りし、小型化に成功した「ミノルタ ミノルチナS」
1964年に誕生した機械式レンジファインダーカメラのミノルチナS。
まだ大きくて重いカメラが主流の時代に、機械式カメラを小型化することで、誰でも気軽に本格的な撮影を楽しめるように、との想いで開発されたそうです。
しかしながら「機械式カメラを小型化する必要はない」といった風潮や、半自動化されたハイマチックシリーズやキヤノネットシリーズなどの人気に押されて、あまり売れなかったとか。
当時は時代に受け入れられず中途半端な立ち位置でしたが、実際に手に持ったり眺めたりしていると、直線的でスタイリッシュなデザインはとても良いし、何よりもこの軽くてコンパクトなボディは魅力的。
機械式カメラの機能を維持しながら小型化を実現したのは本当にすごいと思いました。
このブラックボディに惹かれて買ったわけですが、色味は真っ黒ではなくグレーブラックのような、ちょっと薄い色をしてるのが特徴です。
あえて例えるならば、M型ライカのブラッククロームの質感に近いかもしれません。
塗装が剥げた部分からは、シルバーの下地が見えているので、ブラックカメラ特有の真鍮色にはならないようです。
巻上レバーを背面側に設置したことで軍艦部がフラットになり、直線的なデザインが強調されています。
セレンメーターはファインダー窓と同枠内に揃えて配置。
細部にまで直線的なデザインにこだわって作られている点が、ミノルチナSのポイントです。
経年劣化しやすいと言われるセレンメーターは、一応明るさに応じて針が動きますが、精度が低くて実用性はありませんでした。
レンズはミノルチナS自慢のロッコールQF 40mmF1.8。
軽くてカリカリ動く絞りの動きには、ややチープな印象を持ってしまいますが、オーバーホール済みのものを買ったので動作的には良好な状態でした。
最短焦点距離は80センチで、ぼくが持っているライカ系レンズやS型ニコンのレンズよりも少しだけ寄ることができます。
レンズの大きさに対してボディが軽いせいか、自立できず、普通に置くとレンズにもたれかかった前のめりの状態になります。
個人的にすごく気になってしまうのですが、設計段階で改善しようとは思わなかったのでしょうか?
純正のレンズフードも付いてきました。
見た目的には、雰囲気がアップしてとてもカッコいいのですが、せっかくのコンパクトさが損なわれるので、あまり使っていません。
ニューキヤノネットQL19との比較
ニューキヤノネットQL19と大きさを比べてみたところ、正面からはほぼ同じ大きさに見えます。
ところが上から見ると、薄さに結構な違いがあり、ミノルチナSのほうが薄いです。
さらに重さも620gのニューキヤノネットQL19に対して、ミノルチナSは540g。
80gも差があるので、やはり持った感じも全然違います。
カメラのフォルムといい、重さといい、手にアジャストしてくれるので、非常に使い心地がいいです。
ミノルチナS スペック
簡単にミノルチナSのスペックをまとめておきます。
- 発売年:1964年
- レンズ:ROKKOR-QF 40mmF1.8
- シャッター:1/500 ~ 1、B
- フィルター径:40.5mm
- ピント合わせ:2重像合致式(レンジファインダー)
- 電源:不要(フルメカニカルカメラ)
- サイズ:28mm ×74mm ×60mm 、約540g
ミノルチナSで実写
評判のロッコールQF 40mmF1.8を搭載したミノルチナSはどのような写りを見せてくれるのか。
ミノルチナS + FUJICOLOR 100の組み合わせで撮影してきました。
先日レビューしたキヤノネットQL19は好みがわかれそうなぐらい黄色味が強くて暖色系の仕上がりになったのに対して、ミノルチナSは素直な写りをしてくれます。
雪が降る薄暗いコンディションながら、ポストの赤色を鮮やかに描写してくれました。
どちらかといえば寒色系の写りなので、冬の寒々しい景色を撮るといい感じの雰囲気になります。
青空、雪、そして隈研吾氏が設計した美しい建築。
素晴らしいコントラストですね。
スノーピークの室内から額縁構図的な北アルプスの姿。
天井部分の木組みは雪の結晶をイメージしているで、木を生かして白馬の自然と調和するような設計は隈研吾氏らしいものですね。
他の作例は下記の記事にアップしていますので、こちらもぜひご覧ください。
おわり
ミノルチナSの描写性能や携帯性、操作性などは抜群に良く、これから活躍してくれそうな予感がしています。
やっぱりカメラは外に持ち出してなんぼなので、「このカメラを使いたい」と思わせてくれるのは大切なことだと、
改めて感じまた。