2022年に僕自身初めてのレンジファインダーカメラであるライカ IIIfを購入して以降、どんどん増えていき、1年経った現在では、ライカ M3、ライカ M5、ニコン S3の計4台を所有するまでに。
今回は個性が異なりそれぞれに魅力があるこれらの4台について、簡単な比較や使用した感想をまとめてみたいと思います。
なお、細かい機能面の話はそこそこに、見た目やフィーリングが中心の内容になります。
これからレンジファインダーカメラを買おうと思っている人の参考になれば嬉しいです。
レンジファインダーカメラ4台の比較
ニコン S3 | ライカ M5 | ライカ M3 | ライカ IIIf | |
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発売年 | 1958年 | 1971年 | 1954年 | 1950年 |
重さ | 590g | 625g | 595g | 430g |
サイズ (mm) | W136×H81×D68 | W155×H84×D36 | W136×H77×D33.5 | W136×H66×D39 |
フィルム装填の容易さ | ◎ | ◎ | △ | × |
ファインダー枠 | 35mm、50mm、105mm | 35mm、50mm、90mm、135mm | 50mm、90mm、135mm | 50mm |
ファインダー倍率 | 等倍 | 0.72倍 | 0.91倍 | ? (かなり低い) |
ファインダーの見やすさ | △ | 〇 | ◎ | × |
露出計 | 無し | 有り | 無し | 無し |
操作のしやすさ | 〇 | ◎ | 〇 | × |
シャッター音 | 大きい | 小さい | 小さい | 小さい |
マウント | ニコンSマウント | ライカMマウント | ライカMマウント | ライカLマウント |
使えるレンズの多さ | △ | ◎ | ◎ | ◎ |
愛用している写真家 | 丹野清志氏 | 三部正博氏 | 木村伊兵衛氏、 瀧本幹也氏 | 木村伊兵衛氏 |
自分色に染めたい「ニコン S3」
軽量コンパクト、フィルム装填が簡単、ファインダー倍率が等倍であることなどがニコン S3の特徴で、非常に実用的でバランスが良いカメラ。
所有しているカメラの中で、一番気軽に持ち運びたくなるのはニコン S3です。
ライカの洗練されたデザイン美とは異なり、無骨で男らしい姿も魅力。
相当使い込まれたS3オリンピックモデルは、ブラックペイントが剥がれて地の真鍮がむき出しになることで、ビンテージ品のような渋く貫禄たっぷりな雰囲気をまとうようになります。
ガンガン使い込んで、味わい深く自分色に染めていきたい一台です。
イマイチな部分を挙げるならば、ファインダーの見え方が悪すぎること。
35mm、50mm、105mmのフレーム枠が常に表示された状態になっているので、一瞬どの枠を見ればいいのか迷ってしまいます。
また、薄暗く緑がかって濁ったように見えるため被写体を捉えにくく、この後に紹介するライカ M3のクリアなファインダーとは雲泥の差があります。
でも S3 ブラックペイントは本当にカッコいいので、ファインダーが見えにくいといった細かいことは許せてしまいます。
洗練さと実用性を兼ね備えた「ライカ M5」
洗練されていてスタイリッシュなデザインが他のカメラと一線を画すライカ M5。
都会的でスマートで机の上において眺めているだけでワクワクする素敵なカメラです。
美しいデザインもさることながら、一番の魅力は実用的な機能を兼ね備えている点で、露出計が内蔵されている他、ファインダー枠は35mm、50mm、90mm、135mmの4種類に対応。
さらに、シャッターダイヤルが前面の少し飛び出した位置に設置されているので、ファインダーを覗いたまま右手人差し指で操作することができるなど、随所に工夫が施されています。
世の中の主流が一眼レフへと変わる時代に、M4やM3などとは違うデザインや機能にすることで勝負をかけたライツ社の技術とプライドを存分に味わえます。
そんな素晴らしいライカ M5ですが、唯一にして最大の欠点は「デカすぎる」こと。
この後に紹介するライカIIIfと比較すると、肌感覚で1.5倍ぐらい大きいので、かなり好みが分かれるポイントであり、慣れも必要になってきます。
ライカのアイデンティティを味わうなら「ライカ M3」
ライカのアイデンティティを存分に感じたいなら、M型ライカの初号機であるライカ M3がオススメ。
ファインダー性能がダントツで素晴らしく、装着レンズに応じて50mm、90mm、135mmのファインダー枠が浮かび上がってくるブライトフレームを初めて採用し、限りなく実像に近い大きさで見えるファインダー倍率を実現。
そしてクリアでスカッとした視界は唯一無二の存在。
このバルナック型ライカからの劇的な進化を目の当たりにした日本のカメラメーカーは、レンジファインダーカメラを諦め、一眼レフカメラの開発にシフトチェンジしていったという逸話は有名です。
優しく丸みを帯びたボディは、ファインダーを覗いたときに顔にしっかりフィットするようになっている他、握りやすさも抜群に良く、ライカの凄さを感じられるまさに名機です。
しかしながら、ファインダーが35mmのレンズに対応していないことや、フィルム装填に手間がかかるため、やや扱いにくいカメラだというのが個人的な感想。
最近では、ニコン S3やライカ M5に出番を奪われてしまっている状況です。
ライカ IIIf
カメラの重さやサイズ感においては、ライカ IIIfが圧勝。
ライカ IIIf+エルマー5cm/F3.5の組み合わせなら重さはわずかに550gしかなく、アウターのポケットに入れて持ち運ぶこともできてしまいます。
気軽に持ち歩いてスナップショットを撮りたい人にとって、「コンパクトさ」と「軽さ」を兼ね備えたカメラは最強です。
クラシカルなデザインや、「シュッ」と鳴る優しいシャッター音は秀逸。
そして、磨き上げられた各パーツは上品に輝いていて、工業製品ではなくまるで工芸品のような美しさがあります。
そんなライカ IIIfですが、およそ100年前に発売されたライカI型の流れを汲むカメラなだけあって、使い勝手の部分においては他のカメラのほうが優勢。
特にフィルム装填の煩雑さは、ライカ IIIfの最大のネックポイントだと思います。
フィルム装填するには、スプールを取り出してフィルムの端をグイっと差し込んでから、またカメラに戻すという作業をしなければいけません。
しかも、カメラ内部の部品に引っかからないように、事前にフィルムをカットするひと手間も必須。
そんなちょっと面倒なカメラですが、1番初めに手にしたレンジファインダ機なので、思い出も多く大切な存在です。
おわり
正確なフレーミングができなかったり、ファインダー倍率が100%でなかったり、ちょっとした衝撃で距離計がズレてしまうなど、一眼レフカメラと比べると扱いにくい部分があるレンジファインダーカメラ。
しかし、古き良き良い時代に作られたこのカメラは、高級感と物質的な魅力に溢れ、一眼レフカメラや現代のデジタルカメラにはない個性があります。
今回紹介したカメラはそれぞれに一長一短がありますが、この記事を参考にしてあなたのお気に入りの一台が見つかりますように。