オリンパス ペン S。
2代目のペンシリーズとして1960年に誕生したこの機械式ハーフカメラは、必要最低限の機能しか持ち合わせていないけれど、なかなかすごいやつです。
オリンパス ペン S の魅力
シャッタースピードの最速は1/250秒で、露出計は未搭載。
さらにピント合わせは目測式で、フィルムカウンターは手動でセットする必要があります。
写真を撮るための最低限の機能しか持ち合わせていない「究極のミニマム感」にグッときます。
重さは約300g、電池は不要、ポケットに収まる、シャッター音が小さい、右手だけで巻き上げ~撮影までできる、などの理由から報道カメラマンなどが予備機として使用したそうです。
こんなに小さいのにプロから信頼されたカメラとか、なんだかカッコいい。
レンズは、Dズイコー3cm F2.8を搭載。
いまでこそF2.8という明るさはパッとしませんが、発売された時代やカメラサイズを考えると、メーカーとして血のにじむ努力があったはず。
金属製のパーツがふんだんに使われていて、現代のカメラよりもよっぽど高級感があります。
やっぱり古き良き時代に作られた製品は素晴らしいです。
ペンSとペンSの発売から5年後に登場したペンD3を並べてみました。
ペンSのほうがよりクラシカルな見た目で、そしてわずかに小さくて軽いです。本当に微差ですが。
あえて気になる点をあげるならば、絞り、ピント合わせ、シャッタースピードをレンズ鏡胴部分をクルクルして操作するため、誤操作しやすく、ちょっと慣れが必要な感じです。
特に絞りを操作するとピントリングも一緒に回転してしまうので要注意。
一方でペンD3は、鏡胴の根元にピントレバーが付いているので誤操作しにくく、操作感は良好です。
ペン Sで撮影したスキー場の写真
ペン Sにフジカラー FUJICOLOR 100を入れてスキー場で撮影してきました。
シャッタースピードの最高速が1/250までなので、晴れの日の屋外で撮影するときはF8~22まで絞ることになります。
以下の写真はすべて絞って撮っています。
素通しファインダーのカメラを使うとやりがちなのが、レンズキャップをしたままシャッターを切ってしまうこと。
ライカでもローライ35でもよくやってしまいますが、ペン Sでもやってしまいました。
しっかり彩度が出つつも、全体的に優しく柔らかな雰囲気の写真に仕上がりました。
遠くの景色はモヤっとして、いかにもオールドレンズらしい描写。
撮った写真をスマホで見る分には、解像度も特に問題ないように思います。
もう少しあっさりした色味になるのかと思っていたけれど、赤や黄色の発色が良くて、かなり好みの写り。
ハーフカメラは普通に構えて撮影すると縦位置になり、2コマで1枚の組み写真に仕上がります。
現像所にもよりますが、現像する際は、1コマずつか2コマずつかを選べるようになっています。
2枚ずつ撮影して、現像も2コマで1枚になるようにしたほうが、ハーフカメラの持ち味を存分に発揮できる気がしています。
逆光気味で撮ったこの写真は、F値を16~22ぐらいまで絞っていますが、盛大にフレアが出てしまっています。
でもコントラストが極端に下がるような嫌な感じではなく、優しい風合い具合が増しています。
光が強すぎて隣のコマに干渉しています。
こんなことがあるんですね。
夕方の優しい光との相性が抜群な気がしますが、もう少し暗くなった時間帯や、開放気味のときにどんな写りになるのか気になるところです。
こんなに良いカメラを7,000円というお手頃価格でゲットできたので、ゲレンデや登山などの過酷な環境でガンガン活用していきたいと思います。
使用した機材
今回使用した機材のリンクを貼っておくので、参考にどうぞ。
おわり
約70年に発売された小さなハーフカメラですが、十分な描写力や発色の良さ、そしてフィルムカメラ特有の優しい風合いなどが素晴らしく、一気にこのカメラの魅力に引き込まれてしまいました。
ライカやニコンなどを複数台所持する中で、「そんなに高性能なカメラは要らないんだよ」とペンSが教えてくれているような気もしました。
ハーフカメラを探している人や、これからフィルムカメラを始めようとしている人には良い選択肢と言えそうです。