大切なフィルムカメラを傷から守ってくれる「速写ケース」。
デジタルカメラが主流の現代では使用している人が少ないですが、昔はカメラが超高級品だったため、ほとんどの人がカメラ保護用として使用していたそうです。
実は僕も速写ケースを愛用していて、カメラを傷から守ってくれるだけではなくレザーの味わいとクラシカルな雰囲気が好きで、ニコン F2用、オリンパスペンD用、ライカ IIIf用の3つを所持しています。
速写ケースとは
速写ケースとはその名の通り、上蓋を開ければすぐに撮影ができるカメラケースのこと。
各メーカー・各機種ごとに様々なものがあり、中古カメラ店に行くと購入できます。
レザーの経年変化で味わい深い雰囲気になる一方で、カメラほど大切に扱われていなかったためか、過度に劣化していたり、カビが生えてしまっていたりと、状態が良いものはそう多くはありません。
綺麗なケースを見つけたら即決をオススメします。
所有している3つの速写ケース
僕が所有している3つの速写ケースをそれぞれ紹介します。
セミソフトの「ニコン F2」用速写ケース
まずは、ブラックの締まった風合いと適度な光沢感が渋い「ニコン F2」用の速写ケースです。
上蓋はソフトで底部はハードの純正セミソフトケースですが、ある程度の衝撃耐性はあるのでこのままカバンに放り込んでもOK。
上蓋を開くとこのような感じ。
ケースにストラップ取付用の金具がないので、ストラップはカメラに付けます。
写真のレンズはニッコール S・C Auto 50mm/f1.4を装着していますが、他の標準域のレンズであれば収まると思います。
この速写ケースのいいところは、上蓋を取り外しできるように連結部分がスナップボタンになっている点です。
撮影する際にこの上蓋が邪魔になるときがあるので、そのときの気分や状況に合わせて取り外せるのはとても便利。
新宿中古カメラボックスで多数在庫を見かけたので、探している人は問い合わせてみてください。
▼ニコン F2 のことはこちらの記事にまとめてあります!
コロッとしていって可愛らしいデザインの「オリンパスペン」用速写ケース
次は、「オリンパスペン」用の速写ケース。
明るいブラウン色が目を引きますが、おそらくレザーではなくビニール素材だと思います。
他の速写ケースと比べると素材が薄く保護性能が劣る印象ですが、全体的にコロッとしていて可愛らしいです。
ペンの雰囲気によく合います。
フィルムカメラのエントリー機のイメージが強いペンでも、速写ケースを付けることで“こなれた”雰囲気を醸し出すことができます。
僕はオリンパスペンD用に使用したくて購入しましたが、一つ致命的な問題がありました。
それはなんと、所持しているペンD3はレンズが干渉してケースの上蓋が閉まりません。
おそらく、ペンやSなどのコンパクトなシリーズのものだったと思われます。
見た目が似ているけど入らないということが起こるので、購入するときはカメラを持って店舗に行かれることをオススメします。
▼オリンパスペンD3のことはこちらの記事にまとめてあります!
バルナックライカ「IIIf」用速写ケース
最後は、バルナックライカ「IIIf」用の速写ケースで「ENOOR」というモデル。
正確にはライカ IIIg用のケースなので1950後半~60年代に作られたものだと思うのですが、奇跡的にきれいな状態を保っています。
( IIIg用のケースですが横幅がほぼ同じIIIfやIIIcでも使用可能です)
上品な光沢のあるレザーに丁寧な縫製が施され、ライカ黄金期の雰囲気をビシバシ感じる最高に渋いケースです。
「持っているだけでいい写真が撮れそう!」と思わせる不思議なパワーを感じます。
残念ながら上蓋を取り外すことはできませんが、カメラ自体がコンパクトなのであまり気になりません。
上蓋のレンズ収納部が広く作られており、エルマー 5cm/f3.5を沈胴しなくても収納できる点は特筆すべきポイント。
そのおかげで、速写ケースの名の通り、上蓋を開いてすぐに撮影をすることができます。
ストラップにはラバーパットが付いており、肩や首に食い込まないようになっています。
細かな気遣いが粋です。
カメラに対してケースの高さがぴったり目に作られているので、おそらくファインダーや露出計を装着したまま収納することはできません。
ファインダーや露出計を装着したまま収納できる便利なケースもあるので、気になる人はチェックしてみてください。
▼ライカ IIIf を買ったときのことはこちらにまとめてあります!
速写ケースは、フィルムカメラの魅力を引き立ててくれる存在
長い年月を経て味わい深い佇まいになった速写ケースは、カメラの魅力を引き立ててくれるとともに、撮影のモチベーションを高めてくれる存在です。
有名な写真家を検索すると高い確率で速写ケースを付けていることから、往時の写真家気分に浸ることもできます。
こちらはTwitterでたまたま見つけた画像ですが、上皇陛下もかつてS型ニコンに速写ケースを装着されていたようです。
サングラスとロングコートとS型ニコン、そして速写ケース。とてもスイスの雪山を訪問するような格好に見えませんが、渋いですね。
ライカやS型ニコンなどの1950~60年代のレンジファインダーカメラにカッコいい速写ケースが多いので、ケースありきでカメラ探しをしてみるのもいいかもしれません。
店頭に並んでいなかったり端に追いやられているケースも多いので、速写ケースを探すときは店員さんに聞いてみてください。