ハーフサイズカメラの魅力にどっぷりハマった中で、ついに「原点回帰」とも言える1台に出会いました。
それが、1960年に登場した機械式ハーフサイズカメラ「オリンパス ペン S(Olympus Pen S)」です。
小さなボディに最低限の機能のみを搭載したこのカメラは、まさに“究極のミニマル”と呼ぶにふさわしい存在。
ペンD3と比べると、露出計もなく、電池も不要。
設定はすべて手動の完全マニュアル操作です。
それでも、いや、だからこそ感じられるフィルム撮影の醍醐味。

オリンパス ペン S の特徴とスペック

電子部品を一切持たないため、気候やバッテリーの影響を受けず、いつでもどこでも使える安心感があります。
ペンD3に比べるとさらにコンパクトで軽量。

ポケットにすっぽり収まり、巻き上げから撮影まで片手で完結できる操作性は、スナップシューターにぴったりです。
- 発売年:1960年(ペンシリーズ第2世代)
- レンズ:D.Zuiko 30mm F2.8
- シャッター速度:最大1/250秒
- ピント合わせ:目測式(3段階)
- ファインダー:素通し(ノンパララックス)
- 露出計:なし
- 電池:不要
- 重量:約300g
- 公式サイト
D3との比較:操作性と設計思想の違い

オリンパスペンD3は、露出計を内蔵し、F1.7の明るいレンズを搭載した高性能モデル。

一方、ペンSは露出計なし、F2.8と控えめなレンズながら、全体的にスリムでクラシカルなデザインが特徴です。

D3はピントレバーが鏡胴の根元にあり誤操作しにくい構造ですが、Sはピント・絞り・シャッター速度すべてがレンズ鏡胴部で操作されるため、慣れるまでは少し注意が必要です。

ただし、誤操作を含めた不完全さすらも「撮る楽しさ」として味わえるのがこのカメラの不思議な魅力。
オリンパス ペン Sで撮る、スキー場のスナップ
フィルムはFUJICOLOR 100。
絞りはF8〜F22あたりで撮影。

天気の良い雪山でのカットは、しっかりと彩度が出て、レトロで優しいトーンに仕上がりました。

オールドレンズ特有のもやっとした描写や、逆光による柔らかなフレアが、どこか懐かしさを感じさせてくれます。
青系の発色も良好で、スマホ表示で見る限り解像度も十分。

ハーフサイズの楽しさは、1コマずつでも2コマ並びでも表現ができる点にあります。

ペンSも例に漏れず、2枚の写真を“組写真”として構成することで、物語性のある1枚に仕上げることが可能です。




夕方の光や逆光のときに撮ると、盛大なフレアやゴーストが発生し、オールドレンズらしい味わい深い写真も楽しめます。
まとめ:Pen Sが教えてくれた“ちょうどよさ”

ライカ M5やニコン F2 フォトミックAといった当時のフラッグシップ機を複数所持している僕にとって、オリンパス ペン Sはある意味で“手放せない1台”になりました。
「そんなに高性能じゃなくていい。大切なのは、自分で考えて撮ること」
このカメラは、そう教えてくれているような気がします。
中古価格も手頃で、フィルムカメラ初心者の方にもおすすめ。
ハーフサイズカメラのエントリーモデルとしても、ベテランのサブ機としても十分に活躍してくれるカメラです。
使用した機材
今回使用した機材のリンクを貼っておくので、参考にどうぞ。
ハーフサイズカメラが気になる方へ
オリンパス ペン D3とペン Wの作例や使用感も、こちらの記事で詳しく紹介しています。
フィルムカメラ選びの参考に、ぜひあわせてご覧ください。

