フィルム交換の面倒さや、巻き上げの煩わしさ——使い勝手だけを考えれば、正直なところ「快適」とは言えないクラシックカメラ「ライカ IIIf」。
それでも手が伸びてしまう理由があります。
コンパクトで軽量なバルナックライカのボディ。
金属製の堅牢な作り。
そして何より、エルマー 5cm f3.5の繊細で柔らかい描写がとても気に入っています。
そんなお気に入りのライカ IIIfを携えて、今回はスキー場に足を運びました。
撮影目的で訪れたのは、白馬が世界に誇る白馬八方尾根スキー場とバックカントリーエリア。
広大なゲレンデとダイナミックな北アルプスの風景を、フィルムカメラで切り取ってきました。
バルナックライカと行く、白馬八方尾根スキー場の旅
今回訪れたのは、長野県白馬村に位置する白馬八方尾根スキー場。

装備はライカ IIIfとエルマー 5cm f3.5、露出計はフォクトレンダー VCメーターII。
フィルムはフジカラー100を選びました。
この日は奇跡的な快晴無風。
リフトにも安心してカメラを首から下げたまま乗れました。
スキー場から見える絶景を、ライカ IIIfでフィルムに刻む

ゲレンデ内のリフト移動中もシャッターチャンスが満載。
白馬八方尾根の名前の通り、視界が八方に広がる抜群の眺望は、どこを撮っても絵になります。

日本を代表するビッグゲレンデだけあり、そのスケール感には毎回驚かされます。
雪面のテクスチャも逆光に負けずしっかり描き出すエルマーの性能には感服。
70年前のレンズとは思えない、キリッとした描写です。
観光客の熱気と、北信越の冬山の荘厳な景色


訪れた日は東アジア圏(中国や台湾)の観光客が多く、皆一様にこの壮大な景色に感動していました。

白馬八方尾根スキー場は、1998年長野オリンピックの競技会場としても知られており、ジャンプ競技が行われた「白馬ジャンプ競技場」もすぐ隣に位置します。
バックカントリーエリアへ:白馬三山と外国人スキーヤー

いくつかのリフトを乗り継ぎ、スキー場の最上部にあるバックカントリーゲートへ到着。
スノーシューやビーコンなどの準備を整え、バックカントリーエリアへ出ます。

ここで出会った、白馬三山をバックに滑走を待つ外国人スキーヤーを撮影させてもらいました。
エルマーらしからぬキリっとした描写で、とても印象的な一枚に仕上がりました。
この日撮った中で、もっとも気に入っているカットです。
世界クラスの雪山で、ライカ IIIfがとらえたもの

白馬エリアの魅力は、雪質・積雪量・山岳景観、どれをとっても世界水準。
外国人スキーヤーがわざわざ訪れる理由も納得できる、滑ってよし、撮ってよしのエリアだと思います。

八方尾根を登っていくスキーヤーたちの姿も。

バックカントリーでは滑走地点までのアプローチもまた重要な時間です。
冬の北アルプスは宇宙空間のよう

この日の白馬は快晴。
視界のすべてが白銀に包まれ、人工物も動物の気配もほとんどなし。

人間だけが静かに佇むその光景は、どこか宇宙空間にいるような錯覚を覚えるほど。
フィルム1本、あっという間に撮り終えて
天候に恵まれたこの日は、どこを向いてもシャッターを切りたくなる絶景ばかり。
気がつけば、フィルム1本分を軽々と撮り切ってしまっていました。

エルマー 5cm f3.5の操作は、グローブ越しでは難しい部分もありました。
特に絞りリングの調整は、素手でないと感触がつかめません。
ですがこの日感じた不便さは、それぐらい。
雪の質感、十分なコントラストと色ノリ、繊細な空気感も捉えてくれる描写力は必要十分。
ライカ IIIfとエルマー 5cm f3.5の組み合わせは、ぶつけても壊れそうにない安心感と、胸ポケットに入るサイズ感も魅力で、また雪山に持って行きたいと思える装備でした。
ライカ IIIfの作例・レビューをもっと見たい方へ
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