ヨーロッパ旅行に向けて「ちょうどいい広角レンズ」が欲しかった
これに向けて、愛用しているライカM3に似合う広角レンズを探していました。
いつもは50mmの標準レンズ(エルマー 50mm F3.5など)を使っているのですが、街中をスナップしていると「もう少し広く撮りたい…」と感じることもしばしば。
でも、28mmではちょっと広すぎる。
標準に近く、扱いやすく、それでいて旅の情景を広めに切り取れる…そんなバランスのいい画角が35mmでした。
今回は、僕が最終的に選んだ「キヤノン セレナー 35mm F2.8L」を、L39マウントレンズ初心者にもわかりやすく、他のオールドレンズとの比較を交えながら紹介します。
なぜ「セレナー 35mm F2.8L」を選んだのか?候補レンズとの比較

広角35mmレンズといっても選択肢は意外と豊富。
特にライカL39スクリューマウント対応レンズで探すと、価格も性能もバラバラです。

以下が僕が検討した5本の候補です:
- ライカ ズマロン 35mm F3.5(L/Mマウント)
- ニコン W-ニッコール・C 3.5cm F2.5(Lマウント)
- キヤノン セレナー 35mm F2.8(前期型・後期型)
- ジュピター12 35mm F2.8(ロシア製Lマウント)
【ズマロン 35mm F3.5】ライカの入門レンズ。でも価格と状態が…
ズマロンはクラシックライカレンズの代表格。
写りの柔らかさやライツ製らしいデザインや設計に惹かれましたが、状態の良いものは10万円前後と高価。
しかもクモリや傷のある個体が多く、コスパ面で断念。
【Wニッコール 3.5cm F2.5】性能優秀。でも出会いにくい
描写に定評のあるWニッコールは、シャープで階調が豊か。
とても気になるレンズでしたが、そもそも市場に出回る個体数が少なく、状態のいいものに出会えませんでした。
【キヤノン セレナー 35mm F2.8 後期型】黒鏡胴が気になって…
価格も手頃で性能も評価されているのが後期型セレナー。
ただ、ブラックの鏡胴はクロームのライカM3にはちょっと合わない…。
見た目重視の僕にとっては外観も大事なポイントです。
【ジュピター12 35mm F2.8】安価でユニーク。でもクセ強め
1万円台で買えるロシア製レンズ。
独特の描写とレトロな雰囲気に惹かれましたが、フレアやゴーストが強く、旅行中の「安定感」には欠けそう。
実用性を考えて今回は見送りました。
セレナー35mm F2.8(前期型)の魅力とは?

こうして消去法でたどり着いたのが、「キヤノン セレナー 35mm F2.8(前期型)」です。
ライカボディとの相性抜群の外観

オール金属製でクローム仕上げ。
M3とのデザイン的な親和性も高く、まるでライカ純正レンズのズマロンを模したかのような佇まい。
撮影欲を高めてくれるクラシカルな見た目です。
小型軽量、沈胴なしで安心
全長25.5mm、重さ165gと非常にコンパクト。
それでいて沈胴機構はないため、「伸ばし忘れでピントを外す」ようなトラブルもなく、初心者でも安心です。
F2.8の明るさで夜間撮影もOK
35mmレンズとしては標準的なF2.8の明るさを持ち、室内や夜間でもある程度の撮影が可能。
明るさとサイズ感のバランスが非常に良い一本です。
他のレンズとのサイズ比較|エルマーとの違い

エルマー50mm F3.5(沈胴式)と比較すると、セレナーのほうがわずかに短く、沈胴なしで扱いやすいです。
伸ばし忘れによるミスもないので、旅先ではとても頼れる存在になります。
実際に撮ってみた感想|セレナーの描写は?
購入後すぐに、新宿駅周辺と長野県で試し撮りをしてみました。
カメラはライカM3、ファインダーは内蔵の50mm枠を使って「脳内35mm」で撮影。






実際に撮ってみた感想は以下です。
- コントラストは自然で、色乗りは素直
- 絞ればしっかりシャープ
- 暖色系の写り
描写性能に不満はなく、また、ライカ ズマロン 35mm F3.5の1/3程度の価格で購入できたことを考慮すると「良い買い物」だったと言えます。
おすすめアクセサリー|フィルターとマウントアダプター
【UNX-9620】クラシックに似合うフィルター

ユーエヌ製「アインススーパープロテクトフィルター」は、ロゴのないシンプル設計。

クラシックレンズの見た目を損なわず、レンズ保護にも最適です。
【RAYQUALアダプター】信頼できる国産品質
セレナーはL39スクリューマウントなので、ライカMマウントのカメラに装着するにはマウントアダプターが必要です。
RAYQUAL製は精度が高く、価格も手頃でおすすめ。
※35mmレンズと無限ロックレバーの付きのレンズに対応した半欠きタイプをセレクトしてください。
キヤノン セレナー 35mm/F2.8Lのスペックまとめ

- 名称:キヤノン セレナー 35mm/F2.8 (Canon Serenar 35mm F2.8 )
- マウント:キヤノンSマウント(L39スクリューマウント)
- 発売年月:1951年(昭和26年)10月
- 発売時価格:21,000円
- レンズ構成:4群6枚
- 絞り:F2.8~F22
- 最短撮影距離:1m
- フィルター径:34mm
- 最大径×長さ:48ミリ×25.5ミリ
- 質量:165グラム
(出典:キヤノンカメラミュージアム)
まとめ|セレナー35mm F2.8は初心者にも最適なクラシック広角レンズ
キヤノン セレナー 35mm F2.8Lは、「ライカに似合う広角レンズ」を探している人にはぴったりな選択肢です。
クラシックな外観、ちょうどいい画角、実用的なF2.8の明るさ。
そして、何よりも「手頃な価格」。
初心者でも扱いやすく、旅やスナップでの使用にも向いています。
ズマロンやズミクロンのような高級レンズはまだ早い…と感じるなら、まずはセレナーから始めてみるのも一つの方法です。
Lマウントの世界の入り口としても最適な一本だと思います。
ライカに関する記事


