【作例あり】ズマロン 35mm f3.5 Mレビュー|ライカのオールド広角レンズで描く5月の白馬村

【作例あり】ズマロン 35mm f3.5 Mレビュー|ライカのオールド広角レンズで描く5月の白馬村

最近、僕の愛機である「ライカ M2 初期型」の主力レンズになっているのは、「エルマー 50mm f3.5 M」。

飾り気のない佇まい、コンパクトなボディ、そして味わい深い描写。

エルマーはまさに“写すための道具”という表現がぴったりなレンズで、日常にも旅にもそっと寄り添ってくれます。

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【作例あり】ズマロン 35mm f3.5 Mレビュー|ライカのオールド広角レンズで描く5月の白馬村
クラシックな外観と素直な描写で人気の「ズマロン 35mm f3.5 M」。

そんなエルマーとのコンビにすっかり満足していたのですが、ふと使いたくなったのが「ズマロン 35mm f3.5 M」。

オールドライカのレンズ群の中でも比較的手頃な価格帯に属し、クラシックな外観と素直な描写で人気の一本です。

今回はそんなズマロンを久々に手にし、5月の白馬村を写してきました。

目次

ズマロン 35mm f3.5 Mとは?|ライカらしい精巧さとバランス感覚

【作例あり】ズマロン 35mm f3.5 Mレビュー|ライカのオールド広角レンズで描く5月の白馬村
ズマロン 35mm f3.5の 愛称は「サンハンズマロン」。

ズマロン 35mm f3.5は、1948年にLマウントで登場し、その後Mマウント版がリリースされました。

(LマウントとMマウントで描写性能に大きな差はないとされます。)

さらにM3での使用を想定した「メガネ付き」や、1958年にはより明るいf2.8バージョンも登場するなど、バリエーションの多いレンズです。

中古市場では7〜10万円前後で流通しており、ライカ純正レンズとしては比較的リーズナブル。

価格と性能のバランスに優れた一本なため、ライカ入門レンズとしても根強い人気があります。

ズマロンの外観について|小さく、美しく、手のひらに収まる名品

スペックだけを見れば控えめな印象かもしれませんが、ライカらしい精巧な造りと、素直で品のある描写がこのレンズの大きな魅力です。

【作例あり】ズマロン 35mm f3.5 Mレビュー|ライカのオールド広角レンズで描く5月の白馬村
「小さく、美しい」ズマロン 35mm f3.5 Mの外観。

ズマロン 35mm f3.5 Mの外観は、一言で言えば「小さく、美しい」。

ライツらしい繊細な梨地クローム仕上げが光をやわらかく反射し、目立ちすぎることなく、手元に静かに馴染みます。

ボディはわずか195gと非常に軽量で、手のひらにすっぽりと収まるサイズ感。

絞りリングや距離指標の刻印も丁寧に仕上げられており、小さなボディの中にクラフトマンシップが凝縮されています。

絞りリングは軽快にクリックし、ピントリングの回転も滑らか。

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コンパクトなサイズ感で持ち運びに便利。

M2などの同時代ボディに装着すれば、見た目もサイズ感も絶妙にマッチします。

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ライカ M2と好相性。

まるでボディと一体化しているかのようなフィット感があり、見た目の美しさと実用性が高次元でバランスしていると感じます。

ズマロン 35mm f3.5 M|スペック概要

  • 発売:1954年
  • 絞り:f3.5~f22
  • 最短焦点距離:1m
  • レンズ構成:4群6枚
  • フィルター径:39mm
  • 重さ:195g
  • 適合フード:IROOA、ITDOOなど
  • 中古相場:7~10万円前後

中古市場では光学の状態に注意が必要です。

70年前のレンズのため内部にクモリがある個体も多く、特に逆光での描写に影響が出やすいため、購入時にはしっかりと光学チェックを。

クリアな個体を選べば、意外と逆光耐性もあり、明暗差のあるシーンでもトーンの粘りを楽しめます。

【作例】ズマロンで巡る5月の白馬村

使用フィルムはフジフイルムのカラーネガ「FUJIFILM 200」。

新緑が美しい5月の白馬村で撮影してきました。

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白馬村全景(ズマロン 35mm f3.5 M×ライカ M2 初期型)

この時期の白馬は、雪解けの名残と芽吹きの新緑が交差する、季節の狭間。

水を張った田んぼと澄んだ空の対比も美しく、ズマロンはその風景を静かに、そして誠実に写してくれました。

35mmという画角は風景にもスナップにも向いており、主題を保ちつつ背景の空気感まで取り込んでくれます。

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水田と北アルプス(ズマロン 35mm f3.5 M×ライカ M2 初期型)

青空と水田の反射、そして新緑の色合い。

まるでポジフィルムで撮ったかのような透明感と深みのある階調が印象的です。

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水田と北アルプス(ズマロン 35mm f3.5 M×ライカ M2 初期型)

絞り開放では周辺減光が少し出ますが、それも味わいの一つ。

f3.5という控えめな明るさながら、日中の屋外撮影ではまったく不足を感じませんでした。

ズマロンの描写特性とその魅力

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水田に映る北アルプス(ズマロン 35mm f3.5 M×ライカ M2 初期型)

ズマロンで特に印象的だったのは、シャドー部の粘りと全体の階調バランスの良さ。

コントラストが強すぎず、でも眠くない。

絶妙な「自然さ」を保ったまま、風景の中の陰影を豊かに描いてくれます。

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白馬岳(ズマロン 35mm f3.5 M×ライカ M2 初期型)

日陰の細かいディテールも潰れずにしっかり写り、光と影の繊細なバランスが残ります。

この「さりげない上手さ」は、まさにズマロンの美点だと思います。

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水田(ズマロン 35mm f3.5 M×ライカ M2 初期型)
【作例あり】ズマロン 35mm f3.5 Mレビュー|ライカのオールド広角レンズで描く5月の白馬村
テトラポット(ズマロン 35mm f3.5 M×ライカ M2 初期型)
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テトラポット(ズマロン 35mm f3.5 M×ライカ M2 初期型)
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テトラポット(ズマロン 35mm f3.5 M×ライカ M2 初期型)

ズマロンは、被写体に寄り添うような描写をしてくれるレンズ。

派手さや極端な演出はありませんが、風景の中にある静けさや空気感まで丁寧にすくい上げてくれる。

そんな印象です。

【番外編】5月の東京でも試写

【作例あり】ズマロン 35mm f3.5 Mレビュー|ライカのオールド広角レンズで描く5月の白馬村
丸の内周辺の名建築とビル群(ズマロン 35mm f3.5 M×ライカ M2 初期型)

白馬だけでなく、東京の街角でも試写してみました。

都会のビル群にも、ズマロンのトーンはよく馴染みます。

シャドーからハイライトまで滑らかで、硬質になりすぎない描写が心地よい。

【作例あり】ズマロン 35mm f3.5 Mレビュー|ライカのオールド広角レンズで描く5月の白馬村
皇居のお堀(ズマロン 35mm f3.5 M×ライカ M2 初期型)

水のグラデーションがとても自然に表現されていて、見た目に近い印象が残ります。

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重要文化財・明治生命館(ズマロン 35mm f3.5 M×ライカ M2 初期型)

都会の建築を撮ると、ズマロンのニュートラルな表現力がよくわかります。

曇りの日や逆光でも、粘り強い階調と品のあるトーンが印象的です。

まとめ:自然に写す広角レンズ、ズマロン 35mm f3.5 M

【作例あり】ズマロン 35mm f3.5 Mレビュー|ライカのオールド広角レンズで描く5月の白馬村
自然に写す広角レンズ、ズマロン 35mm f3.5 M

ズマロン 35mm f3.5 Mは、スペックこそ控えめですが、描写・サイズ・外観すべてのバランスが優れたレンズです。

被写体を自然に優しく表現し、旅や日常の風景にそっと寄り添ってくれます。

最初の1本…とまでは言わなくても、ライカで広角を楽しみたい人にはきっと響く一本。

そして、白馬村の美しさをそのまま写してくれたこのズマロンは、これからのフィルムカメラライフに欠かせない存在になりそうです。

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