フィルム一眼レフカメラの魅力を改めて実感しました。
僕はここ2年ほど、ライカ M2をはじめとするレンジファインダーカメラの美しさと精密さに魅了されて、使い続けてきました。
ですがこの夏、久しぶりにフィルム一眼レフカメラ「ニコン F2 フォトミックA」を手に取ってみたところ、その使いやすさに改めて気づかされました。
レンジファインダーとは異なるフィーリングのなかに、撮影そのものの安心感と自由度の高さを実感。
この記事では、「ニコン F2」と「ライカ M2」との比較を交えながら、一眼レフとレンジファインダーの違いを改めて整理します。
「一眼レフを選ぶ理由」と「これからフィルムカメラを始める人へのヒント」をお届けします。
一眼レフにしかない「見たままが撮れる」安心感|ニコン F2

レンジファインダーは構造上、レンズから入った像を直接ファインダーに通すわけではないので、「ファインダーから見えている画」と「撮れる画」が若干ズレてしまいます。

一方、一眼レフカメラでは、レンズから入ってきた光をミラーとペンタプリズムで反射し、ファインダーに映し出す仕組み。
そのため、ファインダーから見えている画=撮れる画になるので、構図のズレやパララックス(視差)がなく、イメージ通りの写真が撮れます。
「撮りたい画がそのまま撮れる」この安心感は、一眼レフならではの大きな魅力と言えます。
レンズ交換の自由度が高く、撮影表現が広がる

レンジファインダーカメラは、そのカメラによって使えるレンズの焦点距離が限られています。
例えばライカ M2の対応レンズは、35mm、50mm、90mmの3つ。ライカ M3は、50mm、90mm、135mmの3つです。
それ以外の焦点距離のレンズを使う場合は、既存のファインダーでは画角を確認できないので、別途外付けファインダーが必要になります。
一眼レフなら全焦点距離に対応し、広角から望遠、マクロ、魚眼まで、1台でさまざまなレンズを使用可能。

とくに望遠レンズの使用時、レンジファインダーではフレームが小さくフレーミングが困難ですが、一眼レフではファインダーにそのまま反映されるので直感的です。
「色々なレンズを使いたい」や「作品の幅を広げたい」なら、一眼レフの方が自由度が高く、表現の幅が格段に広がります。
一眼レフレンズの「寄れる」+「明るい」強み

一眼レフ用レンズには、レンジファインダー用にはない実用的な強みがいくつかあります。
まずひとつ目は「最短撮影距離が短い」こと。
レンジファインダー用レンズは1mまでしか寄れないものが多く、テーブルフォトや小物のクローズアップには不向きです。

一方、一眼レフ用レンズは45cm〜60cm程度まで寄れるモデルが豊富で、料理やテーブルフォトの撮影にも活躍します。
ふたつ目は「開放F値が明るいレンズが多い」こと。
ライカレンズなどのレンジファインダー用はf2〜f3.5が主流ですが、一眼レフ用のオールドレンズではf1.4やf1.8が一般的で、しかも比較的リーズナブルに手に入ります。
背景を大きくぼかしたいときや、暗所での撮影に強く、難しい状況での撮影にもチャレンジできるようになります。
より速く、自由な露出設定が可能

シャッタースピードの選択肢が広いのも一眼レフの魅力です。
レンジファインダー機の多くは最速でも1/1000秒までですが、ニコン F2では1/2000秒、ニコン FM2はなんと1/4000秒まで対応しています。
明るい屋外での開放撮影(背景をぼかしたいとき)や、動きの速い被写体にも対応できます。
屋内でも、屋外でもピント合わせがしやすいファインダー

一眼レフのファインダーは、クリアでくっきり見えるため、屋外はもちろんのこと、光量が少ない屋内でも、ピントをしっかりと視認できます。
環境に左右されずにササっとピント合わせができ、撮影テンポも自然と速くなります。
タフで信頼できる「ニコンF2」という相棒

僕が使っているニコンF2 フォトミックA は、1970年代のプロ用フラッグシップ機。
無骨でいかにも丈夫そうなこのカメラは、戦場や報道の現場でも使われてきたため、その堅牢性は折り紙付きです。
金属製の重厚なボディは、多少ぶつけたくらいではビクともしません。
「地面に叩きつけても壊れない」という逸話もあるほど。
一方、M型ライカなどのレンジファインダーは繊細な一面もあり、衝撃でピントの二重像がズレたり、場合によってはファインダーがブラックアウトすることも。

実際、僕はパリ旅行中にM3を落として、ブラックアウトさせてしまったことがあります。
ブラックアウトしてしまうと、基本的に修理が不可なので、悲しい気持ちになります。
登山や旅行など、過酷な環境でも安心して持ち出せるのも、一眼レフの大きな魅力です。
一眼レフカメラの「デメリット」

もちろん、一眼レフもすべてが完璧というわなく、レンジファインダーと比べてデメリットに感じる点もあります。
- 重い・大きい:レンジファインダーに比べるとずっしり。荷物を軽くしたいときには不向き。
- シャッター音が大きめ:静かな場所では目立つ。
レンジファインダーには、エルマーやズミタールなど沈胴してコンパクトになるレンズもあるので、携帯性の面では分があります。


一眼レフカメラのなかでも、オリンパス OM-1やペンタックス MX、ニコン FM2は、比較的軽量小型のモデルなので、このあたりから検討してみるのもオススメです。
レンジファインダーカメラの「デメリット」

レンジファインダーカメラ、特にライカM型は「軽くて静かで美しい」ことが魅力ですが、実際にライカ M2を長く使っていると、いくつか不便な点も見えてきます。
その一つが「レンズキャップを外したままにできない」問題。
ライカはシャッター幕が布製のため、レンズから入った強い光が長時間当たると、幕に穴が開いてしまうリスクがあります。
また、遮光性が弱く、フィルムが感光してしまうことも。
そのため、撮影が終わったらこまめにレンズキャップを装着する必要があり、地味に手間です。
ついキャップを外したままぶら下げて歩きたくなるのですが、油断すると故障や感光の原因にもなりかねません。
こうした“クラシック機ならでは”の気遣いも、楽しめるかどうかは人それぞれ。一眼レフにはこのような心配がなく、キャップレスでも気兼ねなく使えるのは日常使いとしても大きなアドバンテージです。
まとめ|フィルム一眼レフは「始めやすいフィルムカメラ」

これからフィルムカメラに挑戦してみたい、という方には一眼レフはおすすめ。
一眼レフの方が、カメラ操作や撮影意図を「視覚で確認しながら」身につけていけるので、最初の一台としても優秀です。
コンパクトで美しいライカM2はもちろん最高の相棒ですが、「一眼レフでしか撮れない画」や「一眼レフならではの撮影体験」も確かに存在することを実感しました。
これからフィルムカメラを始めたい方には、ぜひ一眼レフを手に取ってもらいたいと思います。
ニコン F2のスペックや作例は下記の記事にをどうぞ

