カラーフィルムとモノクロフィルムを携えて、シドニー5日間の旅へ。
今回は ニコン F2 フォトミック A に「フジカラー100」と「FUJIFILM400」、そして コンタックス TVS に「コダック TRI-X(トライX)」を装填。
カラーとモノクロの仕上がりを想像しながら、街をゆっくり歩き、気になった景色にシャッターを切っていった。
フィルムカメラ好きと旅行好きどちらにも楽しんでもらえる内容なので、ぜひ最後までご覧いただきたい。
シドニー旅の機材概要

メインカメラは、ライカ M2ではなく、ニコン F2 フォトミック A。
重くて大きいことは、旅の機材としてデメリットだが、
- ファインダーが見やすい
- 30cmほどまで寄れる
- 内蔵露出計の精度が高い
この3点の理由から、今回はF2を選択した。

レンズは、
- New Nikkor 35mm f2(Ai改)
- Ai-s Nikkor 50mm f1.8
- Ai-s Micro Nikkor 105mm f2.8
広角〜望遠までカバーできる3本。
そして私の旅の定番、ライカの卓上ミニ三脚も携行。

サブカメラは、モノクロ用の コンタックス TVS、記録用に RICOH GR III。
TVSを選んだ理由は「軽い・手軽・コントラストの強い描写がTRI-Xと合う」から。

フィルムは
- フジカラー100
- FUJIFILM400
- コダック TRI-X 400
の合計15本。
国際線で使うため、袋にはコダック社の「フィルム検査案内ラベル」も同封。
日本ではもちろんのこと、シドニー国際空港でもハンドチェックはスムーズに対応していただけた。
(ここまで対応が良かったのは、今のところシドニーとソウルだけ。
パリやベルリンなど、ヨーロッパ主要空港のハンドチェック対応状況は下記の記事にまとめてあるので、気になる方はこちらもどうぞ。

【作例】カラー撮影:ニコン F2 × フジカラー100 / 400
まずはカラー写真から。

普段使うレンズは50mmが多いが、今回の主役になったのは New Nikkor 35mm f2。
レンガ造りの建物や石造りの街並み、テラスハウスなど、古くて味わい深い建物を撮る場合、35mmの画角が好相性だった。

1975年発売の New Nikkor 35mm f2 は、AI化以前のモデルではあるものの、光学系はAIやAI-s版とほぼ同じ構造。
描写性能にも大きな差はなく、それでいて中古価格は1〜2万円ほど安い。
コスパが非常に良いレンズと言える。

一眼レフは視差がないので、ファインダーで見たままの景色が写る。
曖昧さがなく、素直で扱いやすい。
レンジファインダーを使い続けていた身には、とても新鮮に感じた。
ニコン F2は露出計の精度も高く、ファインダー内でオーバーかアンダーかが一目で分かる。
ただし、シャッタースピードダイヤルの操作がしにくいので、基本的には絞りで露出を合わせた。

世界遺産のオペラハウス。
付近には「俺を撮ってくれ!」と言わんばかりにポーズを決めるカモメがたくさんいた。

オペラハウスの目の前の広場。
世界各国からの観光客が集まる、シドニー屈指の観光地だが、スリや置き引きの心配がないほど治安が良さそうだった。

比較して申し訳ないが、常に緊張感を持って過ごさねばならないパリとは大違いである。
(でもパリも大好き。)

日本語の建築ツアーで撮った、オペラハウスの内部。
美しさと合理性を兼ね備えた素晴らしい建築だった。

サーキュラーキーからフェリーで30分で行けるマンリービーチ。
ビーチでゆっくり過ごしたかったが、この日は、40℃に迫る熱波と爆風だったため断念。
写真は、カモメにご飯を狙われる女性。

シドニー市内からバスで30分で行けるボンダイビーチ。
平和だ。

ボンダイビーチの近くの芝生で日光浴をする人々。

ボンダイビーチで見かけたクラシックな車。

ちょうどシーズンと重なり、満開のジャカランダを見ることができた。

難しい顔で佇むサラリーマン。

「SLOW」看板を掲げる女性。
シドニーは、いたるところに「撮りたい景色」がある素敵な街だ。


【作例】モノクロ撮影:コンタックス TVS × TRI-X
今回、特にハマったのが コンタックス TVS × TRI-X 400 の組み合わせ。

実は初めて使うフィルムで、きっかけはNetflixで観た韓国ドラマ『ウンジュンとサンヨン』。
主人公たちが使っていたのを見て、急遽調達した。
結果、大正解。

形状やデザインが独特な建物、逆光やサイド光、コントラストが際立つ場所。
主にこのようなシーンを狙って撮影した。

カラーだと観光写真っぽくなる場所でも、モノクロになることで抽象的になり、被写体が強調される。
そしてレトロな建物を撮ることで、よりノスタルジーな雰囲気をまとった写真になる。

TRI-Xの特徴として、黒が深く締まって、ハイライトが軽い。
このバランスが絶妙で、写真に立体感が生まれる。


マティスの切り紙絵のような形をした影。

シドニー市内にあるレトロな駅。



旅の雑感と反省点

治安の良いシドニーでは、落ち着いてフィルム撮影を楽しめた。
2年前のパリ旅では、スリや糞に注意を払いながら撮影した記憶があるので、今回は本当に快適だった。
シドニーは、美しい街並み、カフェ文化が根付き、アートが溢れ、またすぐ行きたいと思える最高の街。
次はメルボルンにも行ってみたい。

ちなみに、レンズは3本も持って行ったのに、使ったのはほぼ35mmだけ。
交換が面倒、荷物が増える、結局ホテルに置きっぱなし。
無駄に荷物が増えてしまったので、ここは次回に活かしたい反省点だ。
他にも「カメラ × 旅」に関する記事を書いているので、興味ある方はそちらもぜひ!

