フィルムカメラは、描写力や使用感は妥協したくないけれど、コンパクトであることも重要。
10月のソウル~西日本旅行で改めてそう感じました。
荷物が多くなりがちな旅行では、軽さとコンパクトさは正義です。
ローライ35やPen Wなどのコンパクトカメラを使うという手もありますが、数日間肌身離さず持ち続けるのならやっぱり質感や操作感も楽しめる本格的なレンジファインダー機のほうがいいです。
そんなわけで、ライカ M2に合わせる沈胴レンズを探すことにしました。
沈胴レンズの候補は5本
候補に挙がった沈胴レンズは、ライカ非純正を含む5本。
Mマウント・Lマウント問わず幅広く候補にいれました。
- ライカ エルマー 50mm f2.8 2nd(M)
- ライカ エルマー 50mm f3.5(M)
- ライカ ズミタール 50mm f2(L)
- ライカ ズミクロン 50mm f2(L or M)
- コニカ ヘキサノン 50mm f2.4 (L)
1番目のライカ エルマー 50mm f2.8 2nd(M)は、1994年から2007まで生産されたレンズ。
色ノリと描写力に定評があり、第一候補に挙げていたものの、状態の良い個体が見つからなかったため断念。
2番目のライカ エルマー 50mm f3.5(M)は、1954年に登場したサンハンエルマーの最終進化形。
Lマウントのエルマーと光学系は同じですが、内面反射がしにくいように作られていて逆光に強いのが特徴。
噂ではこの後に発売された50mm f2.8よりもよく写るとか。しかし、こちらも良い出会いがなく断念。
3番目のライカ ズミタール 50mm f2(L)は、開放f値が明るく価格も手ごろ。
オールドレンズらしい見た目も非常に魅力的でしたが、絞り開放での描写が甘いので、メインレンズとして旅に持って行くにはやや物足りない気がしました。
4番目のライカ ズミクロン 50mm f2(L or M)は、描写力や明るさの面で魅力的でしたが、すでにズミクロン 50mm f2の固定鏡胴タイプを持っているため、沈胴と固定の違いがあるとはいえ同じレンズなので選択肢から外しました。
結局最後のコニカ ヘキサノン 50mm f2.4 (L) に決定。
このレンズはコニカが1997年に1500~2000本限定で製造したもの。
マルチコーティング、重さ200g、最短焦点距離0.8mと高スペック。
限定品で当時のオーナーがあまり使わなかったためか、状態が良いものがたくさんありました。
コニカ ヘキサノン 50mm f2.4 (L)
コニカ ヘキサノン 50mm f2.4 (L) の見た目の印象は、第一候補だったエルマー 50mm f2.8 2ndに近い気がします。
鏡胴は白アルマイト梨地処理が施されてマットな質感に。
少しだけゴールドがかった色合いで上品な仕上がりです。
ゴールドと言ってもほんのわずかなので、クロームのM型ライカとの相性も上々です。
写真だとわかりにくいのですが、パープル系のコーティングが施されています。
「Made in Japan」の刻印。
かつて日本が世界の誇った名レンズの証です。
絞りは2.4~16まで。
ピントの距離表記はメートルとフィートが併記されています。
ぼくが持っている他のM・Lマウントのレンズと並べてみました。
左から、M-ロッコール 40mm f2、ズミクロン 50mm f2 (M)、コニカ ヘキサノン 50mm f2.4 (L)、エルマー 50mm f3.5 (L)、ズマロン 35mm f3.5(M)です。
引き伸ばした状態では一番長いものの、沈胴させればM-ロッコールやズマロンぐらいのサイズ感になります。
ピントリングを回転させても絞り指標が常に一定の位置にくる、直進ヘリコイドという仕様になっています。
絞り指標が真上から見える位置に固定されるので、ストレスなく使うことができます。
元箱、布ケース、フロント&リアレンズキャップ、メタルフードのフルセットで購入しました。
レンズ鏡胴と同色のレンズキャップは統一感があります。
しかもリアキャップは沈胴させた状態でも装着できるように深めの作りになっています。
細かな気配りがニクイです。
ただし、フードにはレンズ名やメーカー名の刻印などは一切なく、ちょっと寂しい作りでした。
コニカ ヘキサノン 50mm f2.4 (L) のスペック
- レンズ構成:4群6枚
- 絞り:2.4~16
- 最短焦点距離:0.8m
- フィルター径:40.5mm
- 重さ:200g
コニカ ヘキサノン 50mm f2.4 (L) で実写
ライカ M2 + コニカ ヘキサノン 50mm f2.4 (L) の組み合わせでテストしたので、レビューしてみたいと思います。
フィルムはフジカラー100です。
色味はかなり濃厚に出て、コントラストも高いです。
壁のテクスチャもしっかり描写されていてシャープです。
周辺部もしっかり描写しているように見えます。
スカッと気持ちいいシャープさ。
さすが、昔から描写力に定評があるヘキサノンですが、その名レンズの歴史が途絶えてしまったのは残念。
(2003年にコニカはミノルタと経営統合し、2006年にカメラ事業をソニーへ譲渡)
夜の渋谷スクランブル交差点でも撮ってみました。
光源の滲みはほとんどなく、非常に優秀ですね。
絞り開放付近で近接撮影。
明るさはズミタールやズミクロンに劣るものの、80センチまで寄れるのはこのレンズの強み。
背景のボケはなかなか素直でクセが少ない印象です。
全体的にバランスの良いレンズだなと思った矢先、逆光時にはコントラストの低下とフレアが発生することがわかりました。
悪条件が重なるとこのような盛大なフレアが発生します。
絞りはf8程度でフードは使っていません。
こちらの写真はもっとすごいことになっています。
1997年に誕生したレンズなので、もう少し逆光耐性があると思っていただけに意外な結果でした。
しかしながら、もしこのフレアを意図的に操ることができれば、幅広い表現が可能になることでしょう。
今回使用した機材
今回使用した機材のリンクを貼っておきます。
もし気になるものがあればチェックしてみてください。
このヘキサノンレンズはLマウントのため、M型ライカで使う場合はM/L変換リングが必須です。
求めていたレンズを手に入れた
ヘキサノンは、ズミクロン 50mm f2 1stよりも40gほど軽いのですが、正直大した実感は得られません。
それよりも、沈胴できることにより、ケースからの出し入れがしやすくなり、カバンのなかでかさ張らなくなったメリットの方が大きいです。
描写性能も非常に良く(逆光耐性は想定外だった)、まさに求めていたレンズを手に入れることができました。
逆光耐性の他に気になる点といえば、40.5mmのレンズフィルターを付けると、なぜか純正のレンズキャップがぶかぶかになり使えなくなること。
そのため、ズミクロン用のレンズキャップで代用していますが、やっぱりコニカにはコニカの純正レンズキャップを使いたかったな。