フィルムカメラでは、描写力や操作感には妥協したくない。でも、旅行となると軽くてコンパクトな装備で出かけたい──
2024年10月のソウル~西日本旅行で、改めてそう感じました。
ローライ35やオリンパス Pen Wなどのコンパクトカメラも便利ではありますが、数日間にわたって肌身離さず持ち歩くなら、しっかりした質感と操作感のあるレンジファインダー機がやっぱり安心。
そこで今回は、愛機ライカ M2に似合う沈胴式の50mmレンズを探すことにしました。
候補は5本。Mマウント・Lマウント問わず幅広く検討
今回リストアップしたのは、純正・非純正問わず以下の5本:
- ライカ エルマー 50mm f2.8 2nd(M)
- ライカ エルマー 50mm f3.5(M)
- ライカ ズミタール 50mm f2(L)
- ライカ ズミクロン 50mm f2(L or M)
- コニカ ヘキサノン 50mm f2.4 (L)
それぞれの特徴と選ばなかった理由を簡単にご紹介します。
1. ライカ エルマー 50mm f2.8(M)
1994〜2007年に製造された比較的新しい沈胴エルマー。
色ノリと現代的なシャープさで高い人気があります。
今回はこのレンズを第一候補にしていたのですが、残念ながら状態の良い個体に出会えず断念。
2. ライカ エルマー 50mm f3.5(M)
1954年登場の「サンハンエルマー」の最終進化形。
Lマウント版と光学設計は同じながら、内面反射への対策がされており、逆光にも比較的強い設計です。
後継のf2.8よりも写りが良いと評されることもありますが、やはりこちらも良い出会いがなく、見送りに。
3. ライカ ズミタール 50mm f2(L)
クラシカルな外観が魅力のオールドレンズ。
価格も比較的手ごろで惹かれましたが、開放では描写がかなり甘いとの評判があり、旅のメインレンズにするにはやや不安を感じて候補から外しました。
4. ライカ ズミクロン 50mm f2(L or M)
写りの良さで定評ある王道レンズ。
ただし自分はすでに固定鏡胴タイプのズミクロンを所有していたため、「沈胴」という特徴はあれど重複感が強く、今回は見送りました。
最終的に選んだのは、コニカ ヘキサノン 50mm f2.4(L)

最終的に選んだのは、コニカが1997年に限定生産したヘキサノン 50mm f2.4(Lマウント)。
約1500〜2000本の限定品ではありますが、比較的新しいレンズのためいまも中古市場では状態の良い個体を見つけやすいです。
ヘキサノン 50mm f2.4(L)の外観と仕様

- 仕上げ:白アルマイト梨地仕上げ。わずかに金色がかったマットクロームで上品。
- 重さ:200gと軽量。
- 最短撮影距離:0.8m
- レンズ構成:4群6枚
- 絞り:f2.4〜f16
- フィルター径:40.5mm
- 沈胴時:非常にコンパクトでM型ライカにバランスよく収まります。
作り込みの細かさに感心

直進ヘリコイドのため、ピントリングを回しても絞り指標は常に真上にくる仕様。
また、付属のリアキャップは沈胴状態でもしっかり装着できる深めの作りになっていて、細部まで実用性が考えられています。




一方で、付属の金属フードにロゴや刻印がない点は少し寂しい部分でした。
実写レビュー:ライカ M2+ヘキサノン 50mm f2.4(L)
さっそくライカ M2に装着してテスト撮影してみました。
フィルムはフジカラー100を使用。




DIC 川村記念美術館の外観と新宿西口を撮った写真では、非常にシャープで濃い発色を実現。
壁の質感や遠景のディテールまでしっかり再現されており、コントラストの高さも印象的です。

渋谷スクランブル交差点など、夜間の光源描写はとても優秀。滲みも少なくクリア。
光源の滲みはほとんどなく、非常に優秀ですね。

ズミクロンなどに比べるとやや暗いレンズですが、最短0.8mまで寄れるのは強み。
絞り開放付近での背景ボケには若干ザワつきを感じますが、フィルムカメラ時代の「味」と捉えられるでしょう。

逆光ではフレアが盛大に出る場面もあり、意図的に使うには面白いけれど油断は禁物。

悪条件が重なるとこのような盛大なフレアが発生します。
※絞りはf8程度でフードは使っていません。
ヘキサノン 50mm f2.4(L)は旅にも日常にも使えるバランスレンズ

このレンズは、逆光耐性には若干の懸念が残るものの、「軽くてコンパクトで、ちゃんと写る」──そんな理想をしっかり叶えてくれる一本でした。
描写の良さはもちろん、ライカボディとの外観バランスや沈胴時の携帯性も申し分なし。

旅カメラ用レンズとしておすすめできる、知る人ぞ知る逸品です。
今回使用した機材
興味がある方のために、今回使った機材のリンクを貼っておきます。
このヘキサノンレンズはLマウントのため、M型ライカで使う場合はM/L変換リングが必須です。

