最近、僕のフィルムカメラライフを支えてくれているのは、ライカ M2 初期型とエルマー 50mm f3.5 Mの組み合わせ。
使い心地も、携帯性も抜群。
旅にも日常にも、そっと寄り添ってくれる最高の相棒たちです。
ちょっとマイナーだけれど、この組み合わせの魅力をもっと多くの人に知ってほしくて、特徴や撮影体験をまとめました。

ライカ M2 初期型:金属の温もりを感じる、唯一無二の存在感

ライカ M2は、1957年から約10年にわたって製造されたM型ライカの2番手モデル。
僕が使っているのは、1958年製造の初期型。シリアルナンバーで確認した、ちょっとレアな個体です。
特徴は、
- 巻き戻しがボタン式(ボタンリワインド)
- ファインダーの採光窓が細いスリット型(内ギザ仕様)
金属だけで作られたシンプルなデザインは、触れた瞬間から特別なものを感じます。

ライカM2とM3を比べて感じた、M2ならではの魅力

似た外観のライカ M3と比べると、M2はさらにミニマル。
ファインダー周りの凹凸が抑えられ、シルクのように滑らかな質感が引き立っています。
しかも、巻き上げレバーやセルフタイマーも金属製。
後年のM型に見られるプラスチックパーツがほとんど無く、手にするたびに「道具を使う喜び」を思い出させてくれます。
ライカ M2のスペック

- シャッター速度:B、1秒〜1/1000秒
- ファインダー倍率:0.72倍
- ファインダー枠:35mm、50mm、90mm
- 製造年:1957年
エルマー 50mm f3.5 M:コンパクトで気品ある、旅の相棒レンズ

一方でレンズは、1954年に登場したエルマー 50mm f3.5 M。
Mマウント版で、製造本数はわずか約13,000本。
後継のf2.8版よりもレアと言われるモデルです。
使ってわかった、エルマー 50mm f3.5 Mの魅力

- 開放F3.5とスペックは控えめながら、描写はとてもバランスが良い。
- 無理のない設計ゆえ、自然なトーンのグラデーションとシャープさが同居。
- 鏡胴側に配置された絞りリングのクリック感が心地よい。

見た目も美しく、マットな梨地仕上げのピントリングと絞りリングが、手にするたびに気持ちを高めてくれます。

さらに、サンハンエルマーの最終進化形として、レンズコーティングが施されているほか、内面反射防止用のリブがしっかり入っていて、逆光にも強いのも大きな魅力。
コートのポケットにもすっと収まるコンパクトさも、旅には理想的です。
エルマー 50mm f3.5のスペック

- F値:3.5、4、5.6、8、11、16、22
- 最短焦点距離:1メートル
- フィルター径:E39
- レンズ構成:3群4枚
- 適合フード:ITOOY、12549、IROOAなど
- マウント:ライカMマウント
【作例】ソウルを巡る旅。ライカと歩いた日々
今年2月、ライカ M2とエルマー 50mm f3.5 Mを携えて、韓国・ソウルを訪れました。
セルフタイマーを使って撮った記念写真も、この旅の大切な宝物です。
景福宮|歴史建築を柔らかく描写

旅先で感じたのは、このレンズが「控えめなのに、確かな表現力を持っている」ということでした。
自然なグラデーションに、ほどよいコントラスト。
そして細部までしっかりと描き出す描写力。

決して派手ではないけれど、だからこそ何気ない光景をそっと美しく残してくれる──そんな安心感があります。
国立現代美術館とpiknic|光と空気感を写す

特に助かったのが、レンズフード「12549」も含めたそのコンパクトさ。

撮影が終わったらレンズを沈胴させて、コートのポケットにすっとしまえるのが本当に便利。

移動の多い旅には、まさに理想的な相棒です。

逆光のシーンでは、ふんわりとしたフレアが現れることもありましたが、このレンズには内面反射防止のリブが3枚も入っているため、ハレーションに飲み込まれるような破綻は一切なし。

ちなみに、後継のエルマー 50mm f2.8 Mにはこのリブが無いため、逆光耐性ではf3.5型が一歩リードしているとも言えます。
広蔵市場と夜のソウルスナップ|暗所でも頼れるホールド感と描写力

広蔵市場の半室内でのスナップでは、絞りを開放付近にして撮影。


夜の景福宮では、シャッタースピードは1/8〜1/15秒ほどだったと思いますが、ライカ M2のホールド性と、このレンズの柔らかな描写のおかげで、ブレることなく、しっとりとした写真が撮れました。
明暗が入り混じる旅先の空気感まで、きちんと描いてくれた一枚です。
飾らないけれど、最高に頼れるコンビ

ライカ M2 初期型とエルマー 50mm f3.5 Mは、どちらも「突出した派手さ」はないかもしれません。
でも、その控えめな美しさと、使うたびに伝わる確かな手応えに、僕は心から惹かれました。
旅先での一瞬も、日常の何気ない光景も、このコンビなら大切に残していける。
そんなふうに思わせてくれる組み合わせです。
これからも、この最高の相棒たちと、たくさんの思い出を刻んでいきたいと思います。

